2014年06月20日

「完全に終わってはいないが」2014 FIFA W杯 日本vsギリシャ

4年前、アルベルト・ザッケローニが日本代表の監督になると聞いて、実は随分期待していた。

確かに当時「旬」ってわけではない監督。それでもセリエC3から着々と実績を重ね、スクデッドまで獲った優秀な監督である。

それに岡田監督時代、「日本人はディアゴナーレを知らない」とか散々イタリア人監督に叩かれていた。

世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析〜 (COSMO BOOKS)

だから、イタリア式ゾーンディフェンスを教えてくれると思っていたし、ザックといえば3-4-3だ。

サイドチェンジ禁止・バックパス禁止・ウイングはワイドに張って幅を作る

サイドに早く展開し攻めきる縦への推進力、今までの日本にないエッセンスを導入してくれると…。

ところが3-4-3はちっともうまくいかなかった。理由は代表メンバーの中心選手がこのシステムに全然向いていなかったから。

まず、純粋なサイドアタッカーがいない。候補となる宮吉や宇佐美が全然育たなかった。サイドに本田を置いても足が遅いのでそこで詰まってしまう、かといってCFの位置に置いてもマーカーを外せない、香川をサイドに置いてもすぐに中に入ってパス交換をし始める。システム上CFが孤立しがちなのでボランチの上下動が要求されるが、この役割は遠藤にはまったく向いていなかった。結局、本田も香川も中央に集まるので肝心のサイド攻撃をSBの上がりに頼ることになってしまう。3-4-3ではなく3-4-2-1。

結局、システムは4-2-3-1へ。選手の意見も考慮してショートパスとショートカウンター主体のサッカーになった。

ここでそれなりに機能してしまったのが間違いだったかもしれない。ザッケローニが戦術的にも選手とのコミュニケーションでも融通性がある程度利く監督だった。

これが途中で「日本人全然やってられない!」とブチ切れてくれた方がよかったかもしれない。

遠藤・長友・香川で左サイドを崩し、右の岡崎で仕留める攻撃はアジア相手でそれなりに機能した。

だが、このシステムの構造的な問題はずっと放置されたままだった。

素人目にもわかる問題は左サイドの高さ不足、遠藤と香川の守備力の脆弱性。

この弱点はすっかり露呈していたが、アジア相手ならごまかしが効いていた。北朝鮮やウズベキスタンにこの弱点を突かれたことがあったが予選突破に直接響いた試合ではなかったため、目立たなかった。

実はザックは3-4-3をあきらめていないと思っていた。3-4-3ならストッパーを1枚増やせるので高さ不足を補えるし、左サイドの脆弱性は長友を高い位置に置いて押し込んでしまえばいい。

しかし3-4-3は封印された。4-2-3-1がすっかり固定され、サイドチェンジやバックパスもいつのまにかOKになった。

オランダやベルギー相手にフラットに殴りあうぶんには善戦できるところまでは出来ていた。

だが、ちょっと強い相手(コートジボワール)が日本を研究しプレスを回避、「自分たちのサッカー」が出来なくなると弱点をモロに曝け出す。

「香川と遠藤を併用すると左サイドを守りきれない」誰もが気づいていたはずだった弱点をこの大一番で突かれた。

オシムがユーゴスラビアの監督時代にピクシーとサビチェビッチを決して同時に使わなかったのはファンタジスタを2枚使うと守備に綻びをきたすから。

そして、ギリシャ戦。ギリシャもコートジボワールと同じようにボランチを1枚下げてサイドバックをあげる。

そこで、ザックは香川と遠藤を外して、左に岡崎をまわしてボランチに長谷部を置き、運動量でカバーしようとした。

実はここで斎藤を左ウイングに置いた 3-4-3をやるのではないかと思ってました。ギリシャのビルドアップに枚数合わせのミラーで戦えばいい。

左サイドを斎藤のドリブルからのカットイン、長友のオーバーラップで蹂躙する作戦である。そのために斎藤を選んだのだと。

「実はこないだも 3-4-3 を用意してたんだけど準備するまでにやられちゃったんです」みたいな。

全然違った。ノーマルに戦った。

早い時間帯に先制点が取れれば勝つチャンスは十分にあったが、ギリシャが一人退場になったため、引きこもって守る戦法に変えてしまった。

4-4-1の8枚ブロックで守り、奪ったボールはサマラスに預けてファールを誘いセットプレーを得る戦法へ。

遠藤と香川を投入するも、さすがに8枚ブロックは堅く日本は引きこもりニート相手に点が奪えず終了。

終盤、斎藤をなぜ出さないんだという意見もあったけどスペースがないと斎藤はちょっと…まあ、出してもよかったけど。

実は青山を入れようか迷っていたそうだけど、結構日本もバテててカウンター食らいかけてた分もあった。
変にカウンターでやられるくらいなら吉田をあげてパワープレーでやりきったほうがいいと考えたのもまあ悪くはない。ただし、それなら豊田を選ぶべきだったし、森重だっていたよ。

というかギリシャ戦はウッチーと川島以外の採点はみんな0点の出来です。一人相手が少ないにも関わらずボールを持ち運びに前に出てこない吉田と今野は−20点です。

さて、まだ完全に終了したわけではなく、ここで総括的なまとめをしちゃったのも心苦しいんですが、今はコロンビア戦への展望なんてまったく考えられず、本田と香川を併用する形さえみえません。勝たなきゃいけない相手にクリスマスツリーをやるってのも…ふう。

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posted by dekasan at 21:57| Comment(0) | FIFA2014ブラジルW杯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月18日

「奇人ファンハールの奇策」FIFA 2014 ブラジルW杯 スペインvsオランダ

色々書きたいことはあるんですが、眠くてどうにもなりませんね。まあ4年に一回のお祭りですからしょうがないって思ってるんですけど。

ファンハールって人はアヤックス時代に超攻撃的な3-4-3システムでCL制覇したり、バルセロナやバイエルンでの優勝経験もあり監督としての実績は十分あるんですが、リベリーに「ファン・ハールのときは生きる喜びなんてかけらもなかった」と言われたり、バイエルン時代に全選手とスタッフを前にズボンを脱いで『どんな選手だろうと名前に関係なく私は交替できる。なぜならキンタマがあるからだ!』と叫んだり、まあちょっと変な人です。

さて、前回大会の決勝カードが予選で激突というわけで、ファンハールが取った作戦はオランダの伝統的なシステムである4-3-3を捨てた5-3-2。

理由は「ロッベンとレンスのウイングの戻り遅すぎ!マジでむかつく!」…たぶん。スペイン相手に守りきれないと判断。

しかし、単純に後ろに重心を置いたわけではなかった。

ファン・ペルシとロッベンは2CBのパス出しをSBへのパスコースを切ることで中央へと誘う。
ブリントとヤンマートはサイドに張って相手サイドバックの縦への侵入を阻止。スナイデルはブスケッツをマーク、ダブルボランチはシャビとシャビ・アロンソをマーク、2CBはダビド・シルバとイニエスタにマンツーマンでついていく。

フォーメーション

つまりファンハールの狙いは、

ブロック間の隙間でボールを受けるのが得意かつドリブルでもボール運べるダビド・シルバとイニエスタに翻弄されてサイド崩されるくらいならゾーンで守るのやめて5バックのマンツーマンだ!
     ↓
サイドに展開させずにボールを中央へと誘導してフィジカルの強いDFとボランチでマンマークでシャビ・シルバ・イニエスタを潰しにいく
     ↓
回収したボールは自然と中央にあるはずなので近くのスナイデルに渡す
     ↓
スナイデルから両サイドに開いたファン・ペルシ、ロッベンへと高速カウンター

なのであった。

但し、相手はスペイン。どこかの国と違って「マンツーマンできてるでおい!」といってパニくらなかった。

マンツーマンの問題点は「いったいどこまでついていくのか?」にある。

シャビやシルバはそれを逆手にとってポジションをやたらと変更しはじめる。左右に動いたり離れたりくっついたり。

そして開いたスペースをジエゴ・コスタが突いて微妙なPKを得る。

はやくもプランが崩れたかに思えたのだが、ファン・ペルシの変態ヘッド、ロッベンの高速ドリブルという超人技で逆転。

カシージャスのやらかしもあって結果は皆さんご存知のとおり。

ファン・ペルシとロッベンという宇宙人二人あってのシステムなんですが一ヶ月ぐらいで4-3-3から5-3-2に変えても機能させちゃう(しちゃう)んだから凄いよね。

あまりに守備的ではないか?リアクションサッカーと批判されてもファンハールは何とも思わないだろうなぁ。

彼にとって勝利こそ正義だから。

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posted by dekasan at 21:09| Comment(0) | FIFA2014ブラジルW杯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月16日

「重馬場に泣く」2014 FIFA W杯 日本vsコートジボワール

正直わけがわからない。

あれだけ「自分たちのサッカーをやる」と言っていたはずなのに、ハイプレス&ポゼッションを放棄した。

暑さと湿気、降りしきる雨で90分は持たないと判断したのか、監督の指示なのか、コンディションのせいで足がついていかなかったのか、
はたまた単純に弱気だったのか?

おそらく、後者の方だろう。なぜなら大迫と本田はプレスに行っていた。だけど、後ろがついてこなかった。

原因のひとつはコートジボワールのビルドアップ方法にあった。

コートジボワールのCB2枚はビルドアップがうまくない。そこでボランチ1枚がCBの位置まで下りてきて3バックの状態にして両方のサイドバックを上げる。もう1枚のボランチとCBとSBで下りてきたボランチでトライアングルを構成する、ウイングが中に絞る、ヤヤ・トゥーレもボールを受けに下がる。

ロンドンオリンピックでメキシコが日本のプレスを無効化した方法と同じです。

香川と岡崎が両方のサイドバックをケア、ボランチがヤヤ・トゥーレと中に絞ってくるウイングを気にしてます。

大迫と本田のプレス2枚ではめにいっても相手は3枚で回してるので余裕、楽に相手のもう1枚のボランチにフリーでボールを配球されています。

山口と長谷部のどちらかがここを潰しにいけばよかったんですがヤヤ・トゥーレと中に絞ってくるウイングを気にしすぎ。

中に入ってくるウイングはSBにまかせて山口がヤヤ・トゥーレを見て、長谷部がボランチを捕まえに行くって約束にしちゃえばよかったんですが…。

フォーメーション

結局、真ん中にぽっかり開いたスペースをボランチに使われてしまいます。

これでどこでハメるのかわからなくなっちゃったと。
いや、山口はこれロンドンで体験してるはずなんですけど、終始ポジションは後方です。

早めに先制点が取れたのもかえってよくなかったかも?重心が後ろすぎることになっちゃいました。

どうせなら前プレスやめて、本田が下がってもう1枚のボランチを見るような感じでリトリートしてからカウンターでサイドバックの裏をつくってことにすればよかったかも?アトレティコ型圧縮4-4-2ですね。

その場合、大迫じゃなくて柿谷だったなと。それに省エネサッカーやるなら、そういうメンバー構成にしなきゃ。

で、その結果どうなったかというと、パス本数もパス成功率もポゼッションも圧倒的に少なかった。

ポゼッション

いや、日本の生命線が全部ダメじゃん。前半はポゼッションもっと低かったですからね。これじゃ勝てるわけありません。ちなみに走行距離はコートジボワールより10kmほど多いです。

後半、ポゼッションを回復しようと思ったのか遠藤投入。確かに数分ぐらいは攻撃は良かったんですけど、結局はこれが裏目に出ました。

監督は意外と日本のこと研究してたようで、ドログバ投入と同時にジェルビーニョを右サイドに変更。

さて、失点シーンですが、香川が左サイド前方でフリーになっていた大迫を無視して本田とパス交換しようと中に入ってきたところを本田が潰されて、右サイドのオーリエに展開されてどフリーでクロスをあげられています。

この時、もう本田はだいぶんバテテるんで危ないと思ったんですが…。本田の弱点はスピードとスタミナの無さです。本田はスタミナなくなると走り方が変わるんで気づけって感じですが、それ以前に本田がマーカー2枚しょった状況でこのパスは完全に香川のミスです。相手の右サイドバックが高い位置にいた状況で中でパスカットくらえばどういうことになるかって判断が出来なかったのは嘘でしょ?としか思えません。

2失点目も香川が中のボランチの方に寄ってきてオーリエをフリーにしてしまいました。
この時、遠藤はジェルビーニョを見失った中途半端な位置に立ってます。

ラムシ監督ちょっと舐めてました。寄せられる前にニア側にアーリークロス入れて空中戦ってのは作戦どおりかも。

結果論ですが、ドログバが投入される前から今野入れて3-4-3をやればよかったんじゃないでしょうか?

3-4-3をやらないまでも香川下げて、今野をSBの位置に入れて長友を一列あげてワイドに張らせてもよかった。

ドログバが投入される前からザックとコーチが言い合いしてたんですが何を話してたんでしょう?

しかし、負けるにしても正しい負け方ってのがあります。こんな腰の引けた戦いをするとはがっかりです。

さて、香川と遠藤を併用して左サイドに置いたんじゃ守りきれないってことが証明されたんで次はどうするんでしょう?

あと重馬場ではこの二人じゃ軽量級過ぎて持ち味が消されるんでスコールが降るようなお天気だと2枚取り換えってこともあります。

いや本当にどうするんだろう?ザックは選手の自主性を重んじて、中に入りたがる香川とかサイドチェンジとかを容認してきたけど、もう負けられないこの状況では大胆なことをしてきそうな気もしますが…。
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posted by dekasan at 21:23| Comment(0) | FIFA2014ブラジルW杯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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