2014年05月02日

バルセロナ戦術アナライズ 最強チームのセオリーを読み解く

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サッカー バルセロナ戦術アナライズ 最強チームのセオリーを読み解く
西部謙司
カンゼン 2011-06-11
売り上げランキング : 124990
評価

by G-Tools , 2014/05/02



2011年6月出版ですのでちょっと古いですが、2010〜2011年は実にクラシコが5試合もあった貴重なシーズンでもあり、この時のグアルディオラ率いるバルサは最強でした。また、このシーズンのレアル・マドリッドの監督はバルサキラーのモウリーニョです。このシーズンのレアル・マドリッドとの戦いやCLでのアーセナル戦などの解説をしながら、バルサの戦術を読み解く書籍です。

[内容]
□エル・クラシコの衝撃
□ドリームチームのデザイン
□ドリームチームの足跡
□ドリームチームから現在まで
□カルロス・レシャックのバルサ論
□バルセロナ式を読み解く
□日本とバルセロナ

面白かったのは、カルロス・レシャックの部分。
レシャックといえば元横浜フリューゲルスの監督でもあり、「ナプキンでも何でもいいから早くサインさせろ」とメッシを発掘した人でもあります。何かの本で読んだんですが、レシャックは「ボランチはセンターサークルから出てはいけない」と言って、フリューゲルスではパス回しの練習ばかりさせられていたと現横浜FC監督山口素弘は述べてます。当時「今からパス回しの練習しても上手くなるのかな?」と疑問に思ったみたいですが、本当にパス回しだけは上達したと語っています。そんな、レシャックがバルセロナの戦術体系を細かく解説してくれてます。

また、びっくりしたのが FCバルセロナスクールのコーチ村松氏のお話です。

村松氏は『フットボールとは戦術である』が前提で、高度なテクニックがなくてもバルサのサッカーは出来る、むしろバルサの戦術で要求されるテクニックは少ないと言います。

また普通の小学生相手のスクールでは、インサイドキックやドリブルなどの基本技術を覚えてから戦術練習に入りますが、このスクールではまず「ボールの動きとポジショニング」から始まります。いきなり戦術なんです。

『テクニック重視、ドリブル重視の指導は犠牲者が出る』ともいい、普通のスクールではテクニックが上手な子はどうしてもMFをやりたがり、一人でボールを運んでしまい、あまりボールが来ないサイドバックをやりたい子が少ない傾向がありますが、FCバルセロナスクールでは、ボールがいっぱい来るのでサイドバックをやりたい子がたくさんいるそうです。

バルサではトップチームでもバックパスを多用します。無理に攻めてボールを失うくらいならバックパスでDFに戻して、時にはGKまで戻して再度攻撃のチャンスをうかがいます。スペイン語で「ア・カーサ」と言って、家に戻るという意味です。センターバックのDFは基本的にフリーなのでボールを失うことは少ないです。仮にDFにプレッシャーがかかっているとしたら、前方のどこかで誰かがフリーになっています。

日本でバックパスばかりしていたら「ボールを下げるな!」と言って怒られるかもしれません。

バルサにとってフットボールとはテクニックやフィジカルではなくてまず戦術なんです。

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posted by dekasan at 00:13| Comment(0) | サッカー本レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月27日

ロンドンオリンピック メキシコvs日本戦のプレス回避

先述の『あなたのサッカー「観戦力」がグンと高まる本』に掲載されていたロンドンオリンピック メキシコvs日本戦のプレス回避の説明です。

ロンドンオリンピック関塚JAPANの基本戦術はハイプレス&ショートカウンターです。

(1)永井、東の前線は相手センターバックにプレスをかける
(2)サイドハーフはボールに寄った側のサイドバックへプレス
(3)ボランチは限定されたパスコースの中央に寄せてボールを回収する準備をする
(4)ボールを奪ったら永井のスピードを活かしたカウンターを仕掛ける

これに対して、メキシコはボランチのサルシドをセンターバックの位置まで下げ、センターバックをワイドに広げて、サイドバックをあげてパスコースを作ります。図にするとこんな感じです。

football-formation2.jpg

こうなると人数が合わないので永井と東がいくらボールを追ってもスカされるだけです。ボランチ(山口蛍)が1枚サルシドについていくってのもあるんですが、この時はそこまでの発想も機転も効かなかったでしょう。ともかく、これでメキシコは日本のプレッシングを回避することに成功しました。

これでメキシコに主導権を握られた日本ですが、プレス&ショートカウンターを封じられても、自陣にリトリートしてからのロングカウンターという武器があれば勝てたかもしれません。走力で圧倒するFW、単独でドリブル突破できてボールを運べるFW、そのFWへ正確にパスを配給できるパサー(永井・宇佐美・清武)の3人がいたのですがそこまで成熟したチームではありませんでした。

このボランチが1枚DFラインに落ちてビルドアップするやり方は、今ではすっかりポピュラーになりましたが、Jリーグでも似たようなケースがありました。

2012年のコンサドーレ札幌vs川崎フロンターレ戦です。

この時の川崎はなぜか縦に早いサッカーを志向していました。DFラインは後方でのパス回しをあまりせず、縦へのロングボールを蹴ってきます。

そこで札幌の石崎なんちゃってプレスは、まずDFの縦のコースを切ってプレスにいきます。ロングボールを封じられた川崎はつたないパス回しをさせられ、低い位置でボールを失い、ショートカウンターから前半で2失点をくらいます。

後半、川崎は温存していた中村憲剛を投入し、ロンドンオリンピック メキシコvs日本戦のように憲剛がDFラインの位置まで下がり、センターバックがワイドに広がりサイドバックが高い位置をとります。中村憲剛は時折前に出たり、DFラインまで下がったりと、相手FWとトップ下を交わすような形でパス回しに参加します。これで札幌のプレスを回避してビルドアップすることに成功しました。

この時、前半のように「ハメて守備をする」のか「2点のリードを守る」のか混乱した札幌の中盤が序々にあいてきます。更に、前線からの守備、ボランチの位置までプレスバックして激しく動いていた近藤がガス欠。怪我を抱えてテーピングをして出場していたサイドハーフの高木も明らかに動きが鈍くなります。

札幌は前半の勢いがまるっきりなくなり、後半はずるずると後退して、結局3失点して敗戦となりました。

この試合、そして次のFC東京戦での珍采配を目にした時、私は完全に石崎さんをあきらめたのでした。

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サッカー好きほど知らない戦術の常識
posted by dekasan at 12:31| Comment(0) | サッカー本レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月22日

あなたのサッカー「観戦力」がグンと高まる本

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あなたのサッカー「観戦力」がグンと高まる本
清水 英斗
東邦出版 2013-06-29
売り上げランキング : 110710
評価

by G-Tools , 2014/04/22


常々思っていることだが、日本代表の試合前後に『なぜ闘莉王を代表に呼ばないのか?』『Jリーグで好調な広島の選手を呼ばないのはおかしい』というような意見をTwitterやSNSなどでよくみかけるのだが、日本代表のチームコンセプトや戦術及び選手の個性を無視した、そんな「サカつく」的発想でサッカーを語っている輩には辟易しています。

監督やシステム、選手を変えれば、確かにサッカーは変わります。けれど、それで急にチームが強くなるものでもありません。

「システムは4-3-3でこのポジションには○○を置いて」とフォーメーション図を描いたりしてサッカーを語ったりするのもいいけれど、前述のようにチーム戦術や選手の個性を無視した見方をしていませんか?と諭してくれるそんな本です。

[内容]
□スタイルで見極める
 ・香川とユナイテッドのギャップ
 ・プレミア、スペイン、イタリア、ドイツの特徴

□監督で見極める
 ・モウリーニョ、デルボスケ、グアルディオラ、ペトロビッチ
 ・ヒディンクマジック解説 オーストラリアvs日本
 ・ヒディンクマジック解説 ロシアvsオランダ

□センターバックで見極める
 ・麻也のクサビ
 ・フンメルスのドリブル
 ・なぜ闘莉王は代表に呼ばれないのか?

□サイドバックで見極める
 ・日本人とサイドバックの相性
 ・長友の成長
 ・利き足とサイドバックの問題

□ボランチで見極める
 ・遠藤の緩いパス
 ・シャビの緩急をつけたパス
 ・ピルロのロングボール
 ・ロンドンオリンピック メキシコvs日本

□サイドハーフで見極める
 ・カットイン型
 ・サイドアタック型

□トップ下で見極める
 ・ザックJAPANの本田
 ・ロンドンオリンピック東

□FWで見極める
 ・ザックJAPANの1トップ
 ・鹿島の2トップ
 ・メッシとその対策

□GKで見極める
 ・GKのパス
 ・権田のクイックスローの習慣

大体、内容はこんな感じで、実際の試合で起こったシーンの解説も含めてわかりやすく説明してくれてます。

前作、『サッカー「観戦力」が高まる』よりも図による説明が多くなってるので、理解しやすくなってます
(それでもまだ少ないがページ数の関係があるのかも?)。

サッカーの戦術説明本(?)は、西部謙司さん以外のジャーナリストの方ではあんまり面白いものがないのですが、新たな期待のライターの登場といったところです。

いや、一般人がTwitterで好きなことつぶやくのは自由なんだけれども、コンフェデレーションズカップの後、『ビエルサを招聘すべき』とか平気で専門誌に記事を載せちゃうプロのジャーナリストとかもいてびっくりしちゃうこともあるんです。『マンマーク守備の3-4-3をこれからやるのか?』と。

長くなったので、次回投稿時に、この本に掲載されている「ロンドンオリンピック メキシコvs日本 メキシコがやったハイプレス回避」を説明します。これは、2012年の札幌vs川崎戦でも似たような状況が起こっていたので印象に残っています。

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あなたのサッカー「観戦力」がグンと高まる本
posted by dekasan at 20:59| Comment(0) | サッカー本レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月17日

サムライブルーの料理人

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サムライブルーの料理人 ─ サッカー日本代表専属シェフの戦い
西 芳照
白水社 2011-05-06
売り上げランキング : 194333
評価

by G-Tools , 2014/04/17


著者の西芳照さんは、ジーコJAPANから現在に至るまで日本代表専属料理人として、アジアカップやW杯などの遠征期間中、日本代表の食事を作っている。

彼はアディダス社から支給された24の数字が印字されたフードコートを着て厨房に立っている。

[内容]
・調理を行うのは西さん一人ではなく、滞在するホテルの現地スタッフと一緒に調理する。
 その為、調理の方法など、やり方が現地スタッフとは異なる場合が多いが、徹底した衛生管理のもとで調理を行うよう指導している。
・日本からも食料を運ぶが、限度があるので、足りない分は現地調達。現地の日本法人や日本料理店などから調達している。
・衛生管理はハサップという管理手法に従って、現地スタッフにも遵守してもらう。
・水にはとにかく気をつける。野菜はミネラルウォーターで洗いなおす。現地で仕入れた豆腐も、一度熱を通してから、再び冷やす。
冷やしうどんを作る際にも、乾麺を茹でて、ペットボトルを凍らせて冷やす。生めんや氷は使わない。
・目の前で、パスタを茹でたり、肉を焼くライブクッキングを導入した。
・選手が望む食事は食べなれた日本食。
・遠征期間中の睡眠時間は平均5時間。だが日本サッカー協会のスタッフはほぼ不眠。
・イングランドのスタッフは日本の倍以上の人数がいる。
・南アフリカでは滞在するホテルスタッフや従業員にもラーメンが大人気。南アフリカでラーメン屋をやると儲かるかも?
・南アフリカでの高地順化対策のための「鉄分補充」「糖質補充」「抗酸化物質の採取」する食事を作った。
・南アフリカでの持参した食料は同じく「ベスト4」分だった。

中村俊輔選手などは遠征期間中は「食事しか楽しみがない」というくらいだから、それだけ料理には気を使っているのがよくわかる。やはり現地の見知らぬ料理を出しても、食べなれないものを食べて体調を壊すのが嫌だから、いつも食べなれている日本食が好まれるようだ。

安全な食材を確保し、試合前後でメニューのバランスを調整し、しかも同じメニューが続いて飽きさせないよう工夫をこらし、選手の好みにもあわせる。それを言葉の通じない現地スタッフに指示して行うのだから、やはり彼も24番目の登録選手として厨房で戦っていたのだ。

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サムライブルーの料理人 ─ サッカー日本代表専属シェフの戦い
posted by dekasan at 21:52| Comment(0) | サッカー本レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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